「パンがなければお菓子を」はマリー・アントワネットの言葉ではない【一分間雑学】
フランスの王妃で最も有名な人物であると言って過言ではないのが、マリー・アントワネットです。
フランス国王ルイ16世の妃であるマリー・アントワネットは、フランス革命時(1789~1799)に反革命の中心人物として処刑されたことで知られています。
彼女のエピソードで有名なのは、パンを求めて立ち上がった民衆に向かって言ったとされる
パンがなければお菓子を食べればいいじゃない
という言葉です。
贅沢の極みのように思われるこの言葉ですが、本当にマリー・アントワネットはこう言ったのでしょうか?

「パンがなければお菓子を」は実は…
今では、マリー・アントワネットが『パンがなければお菓子を食べればいいじゃない』と言っていないことがわかっています。
元々、この言葉は有名なフランスの哲学者、ジャン・ジャック・ルソーが『告白』という自伝的な書物で『ある王女の言葉』として明かしたエピソードの中に出てきたものです。
実際はルソーがそのエピソードを書いたとき、オーストリア生まれのマリー・アントワネットはまだルイ16世に嫁いでいませんし、フランスにも来ていませんでした。
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では、なぜマリー・アントワネットの言葉になったのか?
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ルソーの『告白』に『ある王女の発言』として「パンがなければ~」という記述を発見
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マリー・アントワネットは大変な浪費家で世間知らず(とされていた)ためイメージが合う
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「パンがなければ~」をマリー・アントワネットの言葉として書き記す
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庶民は上流階級の人間が贅沢の限りを尽くしていたと思っており、その象徴がマリー・アントワネットだと考え、それを信じた
という流れが実態に近そうです。
やはり、脚色や誇張があり、いつの間にか話だけが独り歩きしたというのが、真相に近そうですね。
ケーキではなくブリオッシュ
ちなみに、日本では『お菓子(もしくはケーキ)』と訳されていますが、正しくは『ブリオッシュ』です。
このブリオッシュとはバターと卵を使った嗜好品で、当時はぜいたくな食べ物だと認識されていました。
ブリオッシュを単にパンの代用として考えたという解釈もできますが、いずれにせよ
『身分の高い女性が庶民の暮らしを知らない』
という趣旨のことを言いたいだけなので、ブリオッシュについての議論はあまり意味がないとも言えますね。
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